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(語り)メイプルソンについての考察
突然ですが、ちょっと時間が出来たので長文を書きます。
本来このブログを立ち上げた理由のひとつにMPに関する色々な意見を気軽に書きたい!と言うものがあった(そのくせ全く書いてませんでしたが)のですが、此度ようやくその機会を得ました。

題材は以前から書くぞ書くぞと言っていた「メイプルソンについての考察」になります。
実は僕がMPで一番好きなキャラはメイプルソンなのです。 いえ、厳密には彼と言うよりも彼を通してMPを読む事で、その世界の奥深さ・面白さが一層理解できたために印象深い、と言った方が適切でしょうか。

以下、拙い文章で色々長ったらしく語りますのでお気を付け下さいね。
1・与えられた”役割”

漫画に限らず、キャラとは必ず何らかの”役割”を果たすために誕生します。
ある者は主人公として、ある者は物語に色取りを与えるヒロインとして、またある者は障害となる悪役として物語の中に生を受け、行動を始めます。

メイプルソンに与えられた”役割”それはズバリ「やられ役」。 「かませ犬」と言い換えても構わない役ですが、ただやられるだけではありません。彼が登場するのは第2章の最初、色々と仕切り直さなくてはなりません。 

2・”役割”に付加される”キャラクター”

”役割”をこなす事が物語にとって最重要事項ではありますが、それのみを徹底させすぎると機械的になってしまい面白みがありません。そこで、”役割”以外の余計なものを付加させる事でキャラは立ち上がります。

しかし、キャラ立てに力を入れすぎると”役割”の障害になり行動から説得力が削がれてしまいます(特に近年の漫画・アニメにはこの傾向が強いと感じます)。

単行本巻末のキャラクターファイルなどを見るに、MPはまず”役割”ありきでキャラクターが作られており、その枠の中でいかに自然さを保ったまま動かせるか考えられている事が伺えます。 キャラクターの立ち位置がぶれず、誰もに一種の安定感が見て取れる。それが土塚漫画の魅力のひとつだと思えます。

さて本題、第2章のスタートとして「搦め手を使う新たな脅威」の”役割”を受けたメイプルソンですが、そのために表現すべきものは「リセット」でした。ジール・ボーイによって上昇したパワーインフレのリセット、そして第1章を丸々使って表現したTAPの精神・能力が外部にはどう見えるか、読者の感性のリセットです。


3・メイプルソンの本質

さてそんなメイプルソンですが、特に腕力が強くもなく、頭脳が秀でてもいなく、特に異常な感覚も持たず、強力な力と意思を持ったティトォには恐れをなして悲鳴を上げてしまいます… そう、実は彼には何ひとつ特出した所がありません。思い起こしてみればメイプルソンとは、ごくありふれた普通の男に過ぎないのです。
これは考えてみると実に興味深いものです。

MPの世界、それはファンタジー。アメ玉が爆発し、パン屋の娘が空を飛び、警官が拳ひとつで戦車を潰す。何ひとつをとっても現実にはありえない世界。その世界観を強調し、説得力を持たせる媒介として「普通」のキャラクターを配置する手法自体は非常にありふれています。
そのようなキャラは味方側にいるのが常識。多くが(特にライトノベル方面に多いと思われます)主人公自身を「普通」の持ち主に設定しています。

しかし、そこから一歩踏み出しているのがメイプルソンの違う所なのです。

4・「普通」というキャラクター

「悪役」は物語に必要不可欠な要素であり、「悪」である事はそれだけでひとつのキャラとなります。

」とは、日々生活する僕たちが否定し続けているもの。誰だって「悪」にはなりたくない、普通に生きている以上、「悪」に染まるような奴は理解出来ません。故に、「悪」とはそれだけで異常、つまり特徴になるのです。
「普通」である読者(我々)は「悪」ではない、故に「普通」の感性を持つキャラは主人公側にいるのが当然と言えましょう。

しかし、それは本当にそうなのでしょうか。 どんなに「普通」の人間であっても、ある日ふと魔が差して「悪」に転んでしまう事があるのではないか、ましてや大切にしていたものを失ったり、強大な力を手に入れてしまったりしたら? イメージとしては『笑ゥせえるすまん』に出会ってしまったと思えばいいでしょうか。「普通」と「悪」は、実は紙一重のものなのではないでしょうか?

メイプルソンが「普通」の感性を持っているため、それだけで「恐怖でなく心を支配する」三十指のやり方が際立ちます。僕らも、簡単に悪に落ちてしまうかもしれない… そんなプレッシャーが読者に与えられます。

さらに彼がティトォに恐怖する事によって、ティトォの覚悟の強さ、力の特異さ、ああやっぱり只者じゃないと改めて読者に思わせます(戦闘中に敵側の視点が多用される手法も珍しい。通常、感情移入させるべきは主人公だと言うのに)。
つまり、メイプルソンは実に見事に敵味方両者を引き立てる事に成功しているのであります。

5・「普通」ゆえに

メイプルソンの「悪役」としての働きを改めて見ると、慢心からサポート方のくせに単身で戦い、作戦で負け、力比べでも負け、それでいて悪になりきる事も出来ず、結果的に誰一人として傷付けられず… 実に見事なボロ負けと言えます。

それもそのはず。魔法、それは常人にはない特殊な力。
普通の男にすぎない彼が魔法を持ったところで、とても使いこなせるはずがなかったのです。

ティトォに倒されたメイプルソンは、実にあっさり「改心」します。
これも、ついさっきまで殺意丸出しで戦ってた相手と思うとおかしな話になる所ですが、戦闘中の彼がさんざん「普通」の感性を見せてくれたおかげで急な立場替わりも違和感がありません。

まとめると、メイプルソンが「普通の男」であったために以下の事が同時に表現されていたのです。
・搦め手で攻めてくる新たな敵(物語的に最重要事項。これだけ表現できていれば十分に話を回す事が出来る)。

・三十指の中にも「普通」の感性を持った者がいる、「普通の男」でもちょっとしたきっかけで悪に落ちてしまうこと。

・身の丈に合わない力を手に入れ、何でも出来るような気分になったとしても、本質までは簡単に変わらないこと。彼の外見のとおり、それは単に皮が一枚被さっただけにすぎない。

・主人公であるティトォの覚悟の強さ。頭脳でも、魔法でも常人を凌駕する力を持っていること。ほとんど会話する事もなくメイプルソンが「普通の男」である事を見抜く洞察力。 あえて敵側に視点を置く事で「敵にとっての脅威」が表現されている。

・「普通の男」をここまで簡単に操り、使い捨てようとしてしまう三十指の非道さ。そしてそれを否定するティトォの正義観。

メイプルソンという男を通して世界を見る事で、これ程までに世界観・主役キャラを際立たせ、物語の説得力・深みを表していることが分かります。

6・「役割」からの脱出、そして死

「やられ役」としての使命を果たしたメイプルソンは、考えを持ち新たに動き出します。
償いのためにも自分の意思で斬り裂き魔の捜査に協力、能力を活かし相手を追い詰めるものの惨殺されてしまいます。

彼の魔法「ディシーヴワールド」は戦闘には向かない能力ですが、サポートに使えば素晴らしい効果を発揮します。危険となる要素はスッパリ叩き切る、マリーの戦闘力の高さと、判断の早さが分かります。
さらに物語の観点から言えば、このままメイプルソンが主人公側についてしまうと、サポート役としてあまりに有用すぎ、緊張感を奪ってしまう恐れがありました。 そのためにも、土塚先生としても彼をどうにかして”始末”せねばならなくなったのです。

嗚呼、メイプルソン。魔法などに出会わなければ脅威とされる事もなく、生きることを許されたと言うのに…
魔法と言う大きな力。それを持ってしまったがために、斬り裂き魔の立場からも物語進行の面からも「殺すしかない」状況に追い込まれてしまったのです。自分の意思を持って動き出したがために…
身の丈に合わない力を持ってしまうことは、なんと不幸であることか!


キャラクターに魅力を持たせる手法は、超人的な面を強調することで「憧れ」を持たせる方法と、欠点を強調することで「親近感」を持たせる2パターンに大別されると言いますが、メイプルソンは言わば究極の後者と言えるでしょう。
MPは完全なファンタジーと言う世界観なのに、あれほどまでに超人が多く登場しているというのに、読者が置いてけぼりな感覚を失わず独特の生活臭や親しみを感じることが出来るのは、こうした「親近感」をくれるキャラクターのお陰だと僕は思うのです。

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[2009/04/04 02:50 ] | マテリアル・パズル | コメント(3) | トラックバック(0)
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コメント
役割的にエイキを二章のアビャクとしたら、メイプルソンは二章のガシャロといった感じですかね。
メイプルソンもガシャロも魔法を手に入れたことで本来の目的を忘れてしまいましたし。
ガシャロは改心した後すぐ殺されてしまいましたが、メイプルソンはその先を見せてくれました。

「親近感」と言えばバンブーはそういう要素が強いですね。
普通のスポーツ漫画は主人公達が練習してどんどん強くなっていく「憧れ」の要素が強いですが、バンブーは主人公がだらしないですし、キャラの部活に対する情熱などもあまりない。
現実でもタマみたいにクラスメイトと関わらない人はクラスに一人くらいいます。
なんだか長くなりそうなのでこの辺で失礼します。
[2009/04/04 17:38]| URL | 前に拍手した人 #- [ 編集 ]
女神グリ・ムリ・アも本性は普通の、人のいいおばさんでした。
普通であるが故に「孤独」と「哀しみ」に耐えられず凶事に走ることになるのはご存知の通り。
しかし、普通であるが故に時と共に狂気は薄れ、人並みに埋もれる事を是とするようになります。そこに颯爽と現れ、手を伸ばしてきた我らがヒーロー(非ー路ー)。彼女の人生は、ここにきて後戻りの出来ない奈落へと向かいます。
改心してはいませんし、目的を見失ったわけでもありませんが、「採光少年」でガシャロやメイプルソンの役割を辿ったキャラクターを挙げるならば、彼女ではないでしょうか。
[2009/04/04 20:28]| URL | 八山芸震 #ww1eljsI [ 編集 ]
>前に拍手した方
アビャクとエイキは文中で言及した単純な「悪」がアイデンティティのキャラクターですね。
物語には極力分かりやすい敵として登場しながら、ほんのわずかなコマでキャラに奥行きを与えられている好例だと思います。
これについてはまたいずれ書きましょうか。

>八山芸震様
正にアダラパタは物語最大の悪役にしてトリックスター、数多くの人生を狂わす「魔」の象徴と考えて良さそうですね。
はたして彼自身はどんな人生を送った故にああなったのか、明かされる日が楽しみであったりもします。

どうか彼だけは同情の余地のないナチュラルボーンな悪党であって欲しい所。
[2009/04/17 02:15]| URL | 馬茶 #mA3SaVTA [ 編集 ]
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