「愛ヴァンホー」解説編・最終回を作りました。
昨日の夜に書き始めて、今日作ったという超突貫工事な動画です。
気合い入れれば案外さっさと作れるもんだなぁ。
ここも動画に入れると長引くのでカットしましたが、
原作の岩波文庫にはヒドイ突っ込み所があります。
◇騎士が全員「ござる」口調。
「アイヴァンホー」が翻訳されたのが1964年と非常に古い時代だった事もあったのか、日本式の時代劇を意識したのか、なぜか騎士階級のキャラクターが全員 侍 みたいな喋りをします。
アイヴァンホーの一人称が「それがし」って何だよw
おそらく、誰がどの階級にあるのかセリフでわかるよう工夫しようとしたのでしょうが、途中で登場キャラが騎士ばっかりになるので、却ってどれが誰だか分からなくなっています。マジ読み辛ぇ。
◇固有名詞の訳が統一されていない。
特に下巻がヒドイ。
・ジョン親王がときどき「ジョン王子」になっている。
→ 原文では「Prince」。確かに、日本人が何の予備知識もなしに「プリンス」と言われたら
「王子様」と訳したくなる気持ちは分かるけど…
実は「Prince」の示す意味は非常に広く、王族の男性で王(King)以外は弟だろうが孫だろう
が伯父や甥だろうが、全員がプリンスです。しかも場合によっては王族以外でも公爵位を
「Prince」とする事もあるので、案外ややこしいです。
※同様に「プリンセス」も単に「王女様」とは限りません。
・アルベールがアルバートに
下巻でチョイ役で「アルベール・マルヴォアザン」というキャラが出て来るのですが、
なぜか章をまたぐと「アルバート」になっており、最後まで直りません。
確かに原文では「Albert」で、フランス語読みがアルベール、英語読みがアルバートなので単に読み間違えたのだと思いますが…
なんで最初合って(マルヴォアザンはノルマン人なので、フランス語読みが正しい)たのに、
途中から間違えちゃうかなぁ?
・ウォーダー稿本
僕の大好きな「ウォーダー稿本」ですが、これもなぜか出て来る度に「ウォーダー・マニュスクリプト」になったり、また戻ったりします。
どっちかに統一しろよ!ややこしいんだよ!!
……とまぁ、外国の小説を翻訳したものを読む事は多々ありますが、
「訳がヒデェ!」と声を大にして言える本に出会ったのはコレが初めてでした。色んな意味で
僕にとって印象に残るものとなりました。
しかし、これには少々事情があったようで、
岩波文庫「アイヴァンホー」上巻の発売が1964年、下巻が1974年と、なんと10年もの開きがあります。
さらにこの間(1972年)に翻訳者の菊池武一氏が亡くなっており、下巻の途中からは別人が引き継いで訳していたようなのです。なので、下巻の方はどうにも翻訳が精密さに欠け、細部のミスが目立つ出来になってしまったのでしょう…
と、推測する事はできますが、そんな理由が通じるかボケ!!
仮にもプロの出版人が翻訳をいい加減に済ませて、そのまま気付かず世に送り出してしまっていいのか!!誰もチェックを入れなかったのか!?
……まぁ、もう40年も前の出版事情がどうだったのかは知りません。
僕もまだ生まれてないですし。ですが、相当杜撰な環境で仕事してたんだろうなぁと推測されるまでです。
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